はじめに
家を建てる際、多くの人が直面する「全館空調にするかどうか」という悩み。 「家中どこでも一定の温度」という響きは魅力的ですが、初期費用や将来の故障リスクを考えると、二の足を踏んでしまう方も多いはずです。
結論から言うと、新築時に無理に全館空調を選ばなくても大丈夫です。 むしろ、後付けの個別エアコンを選び、ポイントを押さえることで、コストを抑えながら快適な住環境は作れます。今回は、実体験に基づく本音の家づくり論をお伝えします。
1. 圧倒的なメリットは「新築時の建築コスト」が数十万円安くなること
新築時の設置費用 約400,000円(3台)
個別エアコンを選ぶ最大の、そして圧倒的なメリットは、建築時のコストを大幅に抑えられることです。
全館空調システムを導入する場合、一般的に150万〜300万円ほどの費用がかかります。一方、各部屋に個別エアコンを設置すれば、その差額は数十万円単位、場合によっては100万円以上のコストダウンにつながります。
この浮いた予算を、「断熱性能」の向上に回す方が、家全体の満足度は高くなるかもしれません。
2. 「後付けエアコン」でも快適性は十分に確保できる
「全館空調じゃないと冬は寒くて夏は暑いのでは?」と心配されるかもしれませんが、今のエアコンの性能は非常に高いです。
適切な容量のエアコンを選び、サーキュレーターなどで空気を循環させれば、個別エアコンでも生活空間の快適性は十分に確保できます。高額なシステムに頼らなくても、工夫次第で心地よい空間は作れるのです。
子供部屋には成長に応じてエアコンを増設
夏場は北側の部屋と子供部屋1部屋のエアコン2台で4部屋をカバーしていましたが、全員小学生4年以上となり全部屋を使うようになると、扉を締め切る場面も増えてきました。全館空調でもなく、エアコンの冷気をサーキュレーターで2階に分配していましたが、流石に限界なのでエアコンを購入し、取り付け依頼しました。
今回は取付も含めて120,000円でした。
新築建築時から数年明けることで手元の貯蓄も増えていくため、エアコン1台の購入は余裕でした。この時もなるべく良いグレードのエアコンで型落ちを狙うことで安く購入できました。

取り付けは近所の電気屋さん
今まで全てのエアコンの取り付けをお願いしているのは、近所の電気屋さんです。この電気屋さんは、決してエアコン取り付けがうまいわけでも、施工費用が安いわけでもありません。
しかし、顔が見えるというのは良いことで、前回のような気密欠損工事されないように、今回は事前に部材を購入しておこうと考えました。毎回違う人がきていたら、工事方法もバラバラで工事の改善はできませんから。
気密欠損ポイントは電気屋さんに頼らずに確認すること
エアコン取り付けは、電気屋さんごとにかなり異なります。上手い人もいれば、コストを極限までケチる人もいるでしょう。
外壁貫通後にスリーブを通さず、しかもパテうめを外壁側のみ行っている場合は、かなりの断熱・気密欠損となるので注意しましょう。我が家は、通気層がありますから、貫通穴がある通気層部分は全くパテ埋めなしで、数センチの穴がぽっかり空いているので、エアコンを止めた瞬間に、第三種換気の負圧で一気に湿度を含んだ空気が室内に逆流してくる状態でした。

スリーブと気密テープをあらかじめ用意
近所の電気屋さんに依頼する場合、余計な工事を無料でやってもらうというのは都合が良すぎると思いますので、エアコン用スリーブと気密テープはあらかじめ購入し、工事前に説明して渡して作業してもらうように依頼しました。
しかし、やはりスリーブはいつも使用していないので、使い方がわからず、またもや内壁と外壁をスリーブでつなげる誤った設置でした。これではまたもや、通気層部分から空気が室内に入ってしまいます。そこで、工事を一時中断して休憩してもらい、スリーブ設置は自分でやらせてもらいました。通気層外壁側にツバをしっかりと当て、気密テープで隙間ができないように固定して完了です。
お金があるなら外壁貫通は工務店がオススメ
やはりどう考えても外壁貼った後に、外壁貫通されることは気密欠損になってしまいますので、できればエアコン設置場所に事前に穴を開けておきたいですね。我が家の場合は、とにかく一つ穴を開けるのに高くて断念しました。
何よりも時間がない中に決断を迫られるのが嫌だったので、極力後回し作戦にしました。本当に親切で言っているのか?営業トークなのか?建築中って超高額の金額が動くので冷静な判断ができなくなると思います。余裕を持った計画と資金は必要かと思います。
3. 鍵を握るのは「断熱性能」。後からでも「リカバリー」は可能!
エアコンの効きを左右する最も重要な要素は、実はエアコンの性能よりも**「家の断熱性能」**です。
もちろん、新築時に最高レベルの断熱を施しておくのがベストですが、もしそうでなかったとしても諦める必要はありません。
- 断熱リカバリーという選択肢 窓に内窓(二重サッシ)を設置したり、DIYで隙間を埋めたりする「断熱リカバリー」を行うことで、後からでも家の性能を底上げすることは可能です。「箱(家)」の性能さえ整えていけば、個別エアコンは最小限のエネルギーで最高のパフォーマンスを発揮してくれます。
4. 個別エアコンの弱点:2〜3度の温度差は覚悟しておく
正直にお伝えすると、個別エアコンには全館空調に及ばない点もあります。それは、**「居室以外との温度差」**です。
リビングは快適でも、北側の部屋や廊下、脱衣所などでは2〜3度ほどの温度差が発生しがちです。「廊下に出た瞬間に少しヒヤッとする」といった、ちょっとした不快感は残ります。しかし、これを「数百万円の差額に見合う不快感か?」と考えれば、許容範囲内だと感じる方も多いはずです。
5. 【現実】メンテナンスは、結局どちらも大変
「全館空調はメンテナンスが楽」という意見もありますが、実際はそうとも言い切れません。
- 全館空調: 大掛かりなフィルター掃除やシステム全体の定期点検が必要。故障時の修理費用も高額です。
- 個別エアコン: 台数分のフィルター掃除が必要。ただし、1台壊れても買い替えが容易で、リスク分散ができるメリットがあります。
どちらを選んでも手間は発生します。将来の交換コストまで含めたトータルバランスで考えましょう。
💡 編集後記:将来の「空調変更」に備えるプロの知恵
家を建てた後の「しまった!」を防ぐために、以下の2点はぜひ検討してみてください。
- 点検口は「多すぎる」くらいでちょうどいい 天井点検口や床下点検口は、できる限り多く設置しておくことを強く推奨します。将来、空調システムをアップデートしたり、別の方式に変えたいと思ったとき、点検口があれば大掛かりな解体をせずに対応が可能になります。
- 「南から北へ」空気を送るダクトの工夫 日当たりの良い南側の部屋の空気を、北側の部屋へダクトで送る仕組みを検討してみてください。これだけで、個別エアコン特有の温度差が解消され、家の中の快適性が劇的にアップします。サーキュレーターでも良さそうですね。
まとめ:自分らしい「快適」を選ぼう
新築時に全館空調を選ばなかったからといって、後悔する必要はありません。
- 建築コストを数十万円単位で浮かせ、他に予算を回せる。
- 個別エアコンでも十分快適。足りない分は「断熱リカバリー」で補う。
- 点検口やダクトの工夫で、将来の拡張性も確保できる。
「設備」というハードウェアに縛られるのではなく、柔軟に「心地よさ」を追求していく。そんな家づくりが、結果として長く愛せる住まいにつながるはずです。





