2017年に建てた我が家は、一般的な「3種換気」でした。住み始めて数年が経つと、窓まわりからの冷気や、部屋ごとの温度差がだんだん気になってきます。そこで2023年、一念発起して2階部分だけを「1種換気(熱交換型)」へDIYでアップグレードしました。
「換気システムの変更は新築時にしかできない」と思われがちですが、実は後付けでも十分可能です。今回は、私が実際にやった施工手順、つまずいた「音」の問題と対策、そして導入後にハッキリ表れた効果まで、リアルな裏側を一気に公開します。
1. なぜ「3種換気」から「1種換気」へ変更したのか?3つの理由
我が家がここまで苦労してまで換気システムを変更したのには、明確な目的が3つありました。
- 内窓(二重窓)を設置したかった:3種換気は窓のサッシにある給気口を利用しますが、内窓を付けるとその給気ルートが塞がってしまいます。内窓を優先するために、別の給気ルートを作る必要がありました。
- 家の中の温度差をなくしたい:寝室などがある2階を、まるで「全館空調」のような温度ムラの少ない空間にしたかったためです。
- 熱損失を抑える:せっかく暖めた(冷やした)空気をそのまま排気してしまう3種に対し、1種(熱交換型)にすればエネルギー効率を高められます。
2. DIYで導入したシステムと使用部材
今回採用したのは、信頼のパナソニック製 1種換気システムです。
- 本体:小屋裏部屋に縦型で設置。メンテナンス性を考慮しました。
- 給気ダクト:50Φのダクトを6本分岐(今回は寝室、子供部屋3室、WICの計5か所に使用)。
- 排気ルート:既存のトイレの排気口(100Φ)を活用して外へ逃がす仕組みを構築しました。
部材費用は約8万円と格安
新築時に全館空調を入れたら50万円では済みません。今回は中古でちょうど格安に出ていたパナソニックの1種換気システム本体を見つけて、それに合わせて周辺部材を揃えました。ダクトも一部中古で調達し、失敗してもダメージが小さいように出費を抑えながら進めた結果です。
パナソニックの1種換気システムは大手ホームメーカーもよく採用しているので、将来の交換時も部材が手に入りやすいだろうという目算もあります。
ただし、本体の電源接続には第二種電気工事士の免許が必須です。格安でDIYするなら、この資格はマスト条件と思ってください。私自身、独学で取得しました。これからDIYで電気工事を伴うリフォームをしていきたい方は、まず資格取得から始めるのが結局のところ近道です。
※第二種電気工事士の参考書・問題集のおすすめは別途まとめる予定です。

保管場所も必要
購入して家に届くと、予想以上にデカい1種換気本体…ティッシュ箱が遠くに見えます。
構想から完成まで1年以上かかったので、その間ずっと小屋裏にそっと保管していました。保管スペースもバカになりません。

ダクトもどデカい梱包で届きました。これで20m分。後でおかわり発注することになります。

3. 【実践】後付けDIYの難所と施工のポイント
既存の家への施工で最大の難関は、「天井裏の配管」です。新築時のように構造材むき出しの状態で作業できないので、いかに天井裏にアクセスして、いかに50Φのダクトを引き回すかがすべてになります。
- 点検口の増設:すでに石膏ボードやクロスが貼られている状態なので、新たに2か所の天井点検口を自力で設置し、そこから体を入れてダクトを這わせました。
- 既存3種換気の活用:廊下にあった既存の3種換気扇は、撤去せずに「小屋裏へ空気を回すルート」として残しました。これで小屋裏の温度差もなくす狙いです。
事前準備編:天井点検口の増設
まずは作業の入口となる、自力で作成した天井点検口です。

点検口を開けると、既存3種換気の排気口が見えます。ここに新しい給気ダクトを接続していきます。

1種換気本体の設置スペースづくり
小屋裏部屋の空きスペースに、換気システム本体を設置するためのボックスを作ります。ざっくりとした設計図を手書きして、ホームセンターで木材を買ってきてスタート。

骨組みは換気システムの重みに耐えられれば、左右パネルは適当でOK。中身が見えない場所なので、強度優先で。

ちなみに小屋裏空間は高さが140cmしかないので、給気ダクトを下から挿し込むのにギリギリでした。設置場所を決めるときは、ダクトの曲げ半径まで含めて考える必要があります。

小屋裏の床に穴をあけ、外気からの給気と、外気への排気ダクトを通せるように準備します。

2階の天井点検口側からも、ダクトを通せるように大きめに穴を開けます。

室内への給気ダクトと給気グリルの設置
もともとは3種換気で、窓の上から外気が入ってくる仕組みでした。冬は冷たい外気がそのまま入ってくるので、窓まわりが寒くなる原因にもなっていました。

各部屋の天井に穴をあけて、新しい給気グリルを設置します。

もちろん、天井裏でもダクトを引き回す作業が発生します。寝転がっての作業がそこそこキツい。

ダクトを部屋の真上まで引っ張っていって接続。

仕上げの給気グリルは、中古で安く買ったパナソニック製です。新品で揃えるとここも意外と金額がかさむので、中古市場をマメに見ておくのがオススメ。

外気からの給気ダクトの取り回し
これが今回の設計図です。既存の廊下換気扇を「外気の取り入れ口」として再利用するのがポイント。

まずは既存の廊下換気扇を外します。

外気側につながっているダクトを外しに行くと…なんと、ダクトが本体から外れていました💦 7年も気づきませんでした。

給気用のダクトに変更しました。天井上を通して、小屋裏まで引っ張るので結構長いです。

2階からの排気ルートの変更
先ほど外した換気扇は、元どおりに組み立てます。



ダクトの出口は、外ではなく「小屋裏」に向けて変更します。

これで、理論上は小屋裏も2階と同じ温度になるはずです。

外気への排気ダクトを「隠す」造作
排気ルートは難易度が一気にアップします。

なぜかというと、何も考えずに通すとこうなるからです…妻がOK出すわけがありません。

そこで、ダクトを隠すための造作壁を設計しました。これが設計図2枚目。

部材を購入してきて加工します。

Rのかかった半円型の壁にして、排気ダクトを完全に隠す作戦です。

一部カットしすぎたところは気密テープで留めてリカバリー。気密テープはDIYでの修正にも本当に使えるので、常備しておきたい一品です。

だいぶ形ができてきました。

曲面の壁が完成。

サイドはコーキングで隠すので適当でOK。

上下は白い木材を貼って隠蔽。

仕上がりはご覧の通り。サーモグラフィで見ても、壁面と給気グリル付近の温度差はほぼゼロ。熱交換型1種換気の本領発揮です。

一方、3種換気時代の冬の画像はこちら。窓まわりや給気口周辺がしっかり青く写っており、どうしても冷たい外気が入ってきていたことが分かります。

4. 失敗から学んだ「防音対策」:断熱ダクトと消音ダクトの違い
施工が完了したあと、一番の悩みは「音」でした。1種換気本体の作動音が、ダクトを伝って寝室に響いてしまったのです。
- 断熱ダクト(失敗):最初に使ったグラスウール巻きの断熱ダクトは、思いのほか音を響かせてしまいました。
- 消音ダクト(成功):柔らかい素材で音を吸収してくれる「消音ダクト」に変更したところ、5〜10m先では音が全く気にならないレベルまで改善しました。屋根断熱がしっかりしている環境なら、断熱性能よりも消音性能を優先するのが正解でした。
断熱ダクトの騒音値は約35dB
断熱ダクトは断熱がメインなので、内側の素材は音をかなり反響させます。これは中古で安く買ったものですが、安価なタイプでした。


消音ダクトの騒音値は約29.6dB
いかにも柔らかそうな、フワッフワの素材です。軽くて施工はしやすい反面、耐久性はやはり低そうな見た目。
騒音値で5dBの違いというと「たいして変わらなそう」に見えますが、30dB以下になるとほぼ無音に近い感覚になります。音質的にも、耳につきやすい高音域がしっかり消えているのが大きい。
理想を言えば「消音ダクト+外側に断熱材巻き」のW構成がベストですが、コスト重視なら消音ダクト単体でも十分です。


寝室近くは「静かにしすぎ」もダメだった
我が家は内窓を取り付けたので、設置後は室内がかなり静かになりました。ほぼ無音のような感じです。ただ、これがメリットだけではありません。室内の音が逆に廊下に漏れやすくなるのです。

ですので、廊下の換気扇はあえて残して正解でした。廊下で40dB程度の音を常時鳴らしておくことで、寝室と子供部屋間の音漏れをマスキングしてくれます。特に仲の良い夫婦はお気をつけください。

見つけるのが困難だった消音ダクトはどこで買う?
「第1種換気で家中快適なんだけど、ダクトの音だけが気になる…」「消音ダクトを導入したいけど、普通に検索しても全然出てこない!」
そんな悩みに直面していませんか?実は消音機能付きダクトは非常にマイナーな部材で、Googleで普通に検索しても、業者向けの大型製品や高額なブランド品ばかりがヒットしてしまいます。
私自身、家中を探し回ってようやくたどり着いた、「パナソニック製品の半額以下」で手に入るショップを紹介します。楽天では以前DCMオンラインで買えたのですが、2026年4月に撤退してしまい、現状はベストパーツさんが唯一の取り扱いショップです。
ベストパーツ
DIYer御用達のパーツショップです。今回はクラレプラスチックス製の消音ダクトを我が家に導入しました。サイトに登録が必要ですが、住宅用設備はメーカー直送品が多く「個人宅に配送できません」と断られることが多い中、ここは個人宅配送に対応してくれています。また、本家サイトなのでサイズも豊富で、消音機能付き+断熱層付きの上位モデルなども選べます。

家の中のちょっとした物音って、個人差が非常に大きいです。我が家は三男が音に敏感なタイプで、エアコン室外機の作動音すら寝てる時に気になると言っていました。
消音機能付きダクトは天井裏にアクセスでき、アルミテープさえあれば既存のダクトと取り替えができます。音が超気になるって方は、試してみてもいいかもしれません。
ちなみに、ダクト接続に使うアルミテープはこちらを愛用しています。気密性が高く、耐熱・耐久性も問題なし。気密テープと並んでDIY DIYの必需品です。
5. まとめ:DIY換気システム変更のメリット・デメリット
DIYでの換気システム変更は、業者に頼むよりも圧倒的にコストを抑えられますが、天井裏の作業など体力と工夫が必要です。しかし、その先にある「全館空調のような快適さ」は、何物にも代えがたい満足感があります。
換気回数を1.41→0.67回へ大幅に減らせた
我が家の当初の換気計画は、トイレ2箇所+1F浴室+2F廊下の4箇所での排気でした。しかし住んでみると、キッチンの換気扇をどうしても消せないことが分かり、結果として換気回数は1.41回まで増加。せっかくエアコンで調整した空気を、無駄に外へ捨てている状態でした。
今回の2階の1種換気システム化に加え、以前1階と小屋裏部屋をカウンターアローファンで繋げた工夫もあり、1Fトイレは自動でON/OFFするタイプに変更済み。さらに1F浴室は換気扇を常時OFFでも問題が出なくなりました。脱衣室から小屋裏に空気が引っ張られ、小屋裏部屋で熱交換するため、湿度の高い空気でも問題なく処理してくれます。
その結果、実際の換気回数は0.67回まで激減。エアコンで調整した空気を無駄なく使えるようになりました。
副産物として、小屋裏に本体を設置したおかげで、3か月に1度のフィルター掃除も目線の高さで楽に行えるという嬉しいオマケまでついてきました。


CO2濃度計で空気環境も「見える化」
子供部屋に設置した二酸化炭素濃度計です。空気が循環していないと、この数値が1000ppmを超えてきます。1種換気がしっかり効いているかどうかは、見た目では分からないので、CO2計は一家に1台あったほうがいいと本気で思います。

もし今から買い直すなら、迷わずSwitchBotのCO2センサーにします。スマホで数値を確認できて、しかも履歴がグラフで残るのが最高に便利。我が家のような「換気システムを後付けで改造する」シーンでは、改造前後でどう数値が変わったかを比較できるのが圧倒的に強いです。
新築の綺麗な壁に穴を開けたり、天井裏に潜り込んだりするのは、少し勇気がいることです。でも、そうやって自分の手を動かし、汗をかいて作り上げたシステムが稼働した時、この家への愛着は何倍にも深まります。
「ここは自分が苦労して通したダクトだ」「あの時の防音対策が効いているな」――日々の暮らしの中でそう実感できることこそ、DIYの最大の醍醐味ではないでしょうか。
プロに任せれば簡単なことかもしれません。でも、あえて自分でやることで得られる「経験」と「愛着」は、お金では買えない価値があります。あなたの「住みながら育てる家づくり」、応援しています。





