「ミーレを入れると電気代が跳ね上がる」「冬場はブレーカーが落ちまくる」という噂、聞いたことありませんか?数日前の食洗機抗争のコメント欄でも見つけました。
実はこれ、ミーレのせいではなく「家の電気の使いかた(バランス)」の問題かもしれません。我が家の体験から、そのカラクリを解説します。
1. ミーレの電気代は「1回約30円」
まず、コストの誤解を解いておきます。
我が家の場合、1日2回以上ガンガン回しても、月間の電気代への影響は1,500円程度。毎月HEMSで使用電力量を集計していますが、月間50-60kWh程度でした。
1回あたり約30円です。(中部電力スマートプランなので有利かも)
なぜこんなに安いのか?
ミーレなどの海外製食洗機は「予熱乾燥方式」だからです。国産機のようにヒーターで熱風を送って乾かすのではなく、すすぎの際のお湯の余熱で蒸発させる仕組み。つまり、電気を食うのはお湯を沸かすときだけです。
これは5年前に国産浅型食洗機から、中古のミーレG1140に切り替えた時に電気代ですが、微増でした。

子供が小さい時は月間900円程度でしたが、食洗機が大型になり、まとめて食器が入るので、回数が減ったことで1000〜1100円となりました。

2. ミーレの電流は「電気ケトル」と大差ない
ミーレの消費電力は 2.0kW〜2.2kW。これだけ聞くと凄まじい電力に感じますが、ミーレは200V回線です。
電流値を計算すると
2,300W ÷ 200V = 11.5A
一方で、一般的な100Vの電気ケトル(1000W)は
1,000W ÷ 100V = 10.0A 瞬間的な負荷は電気ケトルを1個使うのと同じくらいです。これだけでブレーカーが落ちるなら、キッチンでケトルも使えないはず。では、なぜ落ちるのか?
3. 真犯人は「アンペアの片寄り」にあり
ここが一番重要なポイントです。
日本の住宅の多くは単相3線式という仕組みで電気が引き込まれています。簡単に言うと、100Vの線が2本(L1・L2)入っているイメージです。
40A契約の場合、理論上は「40A × 2本 = 合計80A」分のキャパがあるのですが、「1本あたりの上限(40A)」を超えるとブレーカーは落ちます。
新築時はプロがこの2本のバランスを考えて配線します。竣工図に載っているこのページです。上下でL1・L2が分かれていて、主に100Vエアコンが上下に分かれているので、どちらかに負荷を掛けすぎることがありません。

しかし、エアコン設置やリフォームした場合にはこれが崩れてしまいます。
- 100Vのエアコンを同じ回路(同じ側)ばかり増設した(もしくは使用頻度が高い)
- 同じ回路(同じ側)のコンセントで電気ストーブやドライヤーを同時に使った
- 冬場、特定の部屋だけでパネルヒーターを多用した
「片側の線だけが40Aを超えてしまった」。この状態で、両方の線から均等に電気を引くミーレ(200V)がトドメを刺す。これが「ミーレのせいで落ちる」と誤解される正体です。間違いなく、ミーレは悪くないでしょうね。
我が家の場合は、トドメを刺したのがテスラのEV充電器のウォールコネクターでした。ウォールコネクターは200Vで6.4kW充電の設定にしたので、32A使用します。
深夜時間帯には、ミーレ11.5A+EV充電32A = 43.5/50A 残り6.5Aしかないなら、すぐに落ちてしまいますね。これは極端な例ですが、近いことがどの家庭でも起こっている可能性はあります。

4. アンペア契約よりも厳格なkVA契約の「罠」
最近の主流であるkVA契約(主にスマートメーターによる制限)は、電圧に関係なく「全体の電力容量(VA)」を監視しています。
5kVA契約の場合: 合計で5000W(50A相当)を超えたら、スマートメーターが電気を遮断します。
従来の「30A契約(実質60A相当)」の感覚で「5kVA契約(50A相当)」にすると、使える上限が10A分減っていることになります。これが「5kVAの縛り」でブレーカーが落ちまくる正体です。
電気会社も料金プランの改悪などで徐々に値上げしていますが、電気代の基本料金を数百円削るために、ブレーカーが落ちるストレスを抱えるのは回避したいですね。我が家も5kVAの制限に苦しんでいましたが、大人しく容量を上げることでQOL(生活の質)が劇的に改善しました。
5. 蓄電池の「隠れた」メリット:契約以上の電力を生み出す
蓄電池は「停電対策」や「災害対策」と思われがちですが、実はブレーカーを落とさないためのバッファ(緩衝材)として非常に優秀でした。これを専門用語ではピークカットと言うみたいですが、契約容量を上げずに、蓄電池で『ブースト』をかけるイメージですね。
「買電 + 放電」のハイブリッド供給
通常、契約容量(例:5kVA)を超えるとスマートメーターやブレーカーが遮断されますが、パワーウォールなどの蓄電池がある場合、以下のような動きをします。
- 状況: 深夜にEV充電(6kW)+ エアコン4台(2kW)= 合計 8kW 使用。
- 通常: 5kVA契約なら即座にブレーカーが落ちる。
- 蓄電池あり: 1. 電力会社から上限の 5kW を供給。 2. 不足している 3kW を蓄電池から瞬時に放電。 3. 家全体では 8kW 使っているのに、電力会社との契約内(5kW)に収まっているため、電気は落ちない。
なぜ「パワーウォール」が有利と言われるのか?
一般的な蓄電池は、設定された「運転モード」に従って動くだけのものが多いですが、パワーウォールはゲートウェイ(System Controller)が家全体の電流をリアルタイムで監視しています。
契約アンペアを設定しておけば、その数値を超えそうになった瞬間に「助太刀」するように放電を開始します。このレスポンスの速さと制御の賢さが、ブレーカー落ちを未然に防いでくれる正体です。パワーウォールの場合は、設定は設置会社がやってくれましたので、意識せず動いていました。 結論:基本料金を抑えたまま、快適な生活を維持できる
本来、EVやエコキュートを併用するなら契約を 10kVA などに上げる必要がありますが、蓄電池の「ピークカット機能」を活用すれば、低い契約容量のまま、実質的にそれ以上の電力を使えることになります。
6. 契約容量変更に立ちはだかる「たらい回し」の壁
「ブレーカーが落ちるなら契約を上げればいい」——理屈では簡単ですが、いざ実行しようとすると、そこには高すぎる壁が存在しました。
中部電力エリアで、5kVAから10kVAへ容量を上げようとした我が家。以下のようなループに陥入りました… 「中部電力」に相談 ➔ 「お近くの電気工事店へ」 「工事店」に相談 ➔ 「家を建てた工務店へ」 「工務店」に相談 ➔ 「中部電力に聞いてください」
なぜ「たらい回し」にされるのか?
設備変更の実費: 単に設定を変えるだけでなく、電線を太くしたり、分電盤を交換したりする物理的な工事が必要になるケースが多い。我が家の場合は電線からの家側の受け具の交換が必要になるかもしれないと調査され、問題なしとの判断だった。
- 電力会社への申請手数料: 60A契約を超える場合は費用が発生することがある、
- 業者の「やりたがらない」事情: 申請の手間と責任に対して、業者が受け取れる報酬(利益)が少なすぎます。そのため、「忙しい」と断られたり、他所へ振られたりします。
要は、儲からない割に手間が大きすぎるのが問題なんでしょうね。今回はいつも使うリフォームショップに「有料で良いから、電気契約を上げたい!」とお願いして、ようやく動いてくれました。 申請書類の作成に数時間取られるのに、電力会社からは1円も出ないし、工賃ではお客様からもらいにくいという業界の構造的な部分があると想像しています。なので、有料でもいいからとお願いするし、現地調査して見積もり貰ってキャンセルとかは絶対にやめましょう。やるなら、この記事読み込んで、他でも調べまくってください。
リフォームショップからは「契約変更の申請料金33,000円+別途実費で」と言われので私は快諾しました。もうね、夏場の深夜にブレーカー落ちて、子供部屋のエアコンを起動して回るのって超面倒なんですよ。
まとめ
だいぶ話が脱線したけど、「電気代を安くするために契約を絞る」という守りの姿勢から、「蓄電池や適切な契約変更で、ストレスなく電気を使う」という攻めの姿勢へ。これが令和の賢い住まい方かもしれません。
ミーレは電気をバカ食いする家電ではありません。むしろ効率的です。もしブレーカーが頻繁に落ちるなら、疑うべきはミーレではありません。
- 電力契約の見直し(40A→50〜60Aへ、5KVA→)
- 電気系統の「バランス」(100V機器の使用が片寄っていないか?)
今はスマートメーター(瞬電が発生するタイプ)が主流なので、物理ブレーカーが落ちる前に「あ、使いすぎた」と気づくことも多いはずです。
そして、我が家のようにガス併用住宅でも、契約電力で基本料金が上がらない西日本エリアの場合は、最初から余裕を持った契約を電力会社と行いましょう。言われるがままにギリギリの契約をしてしまうと、後で後悔します。
せっかくの便利な海外食洗機。「仕様」を正しく理解して、快適な家づくりを楽しみましょう!



