新築時に家電量販店経由でエアコンを取り付けたら、4年後の気密測定で1台あたり7.3cm²の隙間とズタボロに切り裂かれた防水シートが発覚しました。本記事では、住宅知識のない取り付け業者にありがちな「外壁にポッカリ穴」状態を、DIYで2,000円・半日で補修した手順を、気密測定値(C値0.88→0.73/n値1.63→1.43)と風速計の前後比較写真と一緒に全公開します。1階エアコンの王道補修に加え、足場のない2階エアコン×1階室外機の難工事を室内側からリカバリーする方法も解説します。「エアコン裏から風が来る気がする…」という方は、まず本記事の自己診断項目だけでも確認してみてください。
結論:エアコン取り付けの隙間はDIY 2,000円でC値0.88→0.73に改善できる🛠️
先に結果からお伝えします。我が家は3台のエアコン貫通穴をDIYで補修しただけで、気密測定の数値が以下のように改善しました。
| 項目 | 補修前 | 補修後 | 改善幅 |
|---|---|---|---|
| 総隙間面積(αA) | 124cm² | 102cm² | −22cm² |
| C値 | 0.88 | 0.73 | −0.15 |
| n値 | 1.63 | 1.43 | −0.20 |
| 1台あたりの隙間 | 約7.3cm²(3台合計21.8cm²) | — | |
| 補修費用 | 約2,000円(パテ2kg+手元の気密テープ・断熱端材) | ||
2,000円の投資で、家全体のC値が0.15ポイント改善。費用対効果はDIY系の中でもトップクラスです。本記事を読み進めると、なぜこんなに大きな効果が出るのか、自分の家でも同じ補修ができるのか、必要な道具は何かが、すべてわかります。
なぜ起きる?電気屋さんのエアコン取り付けで気密層が壊れる構造的な理由
我が家は新築時にはエアコンなしにして、引き渡し後にゆっくりと取り付けしました。ちょうど春で急ぐ必要がなかったのと、工務店経由でエアコン貫通穴を開けると非常に高額だったのが主な理由です。施工費用をケチった結果、外壁にポッカリと大きな穴が空いていました。気密に詳しくない電気屋さんが工事をすると、誰でもやってしまう可能性がありますので、依頼先には十分注意してください。
図解で見る「気密層をぶち破るエアコン工事」の断面

見た目は問題なさそうでも、外壁を一つめくるとズタボロの気密シートが出てきて、隙間風が好き放題侵入しています。これがエアコン取り付け後によく見られる「サイレント気密破壊」の正体です。
我が家の隙間は1台あたり7.3cm²|気密測定の実測データ

新築4年後のレンタル気密測定時に、エアコン裏から猛烈な勢いで風が流入してきました。3台のエアコン貫通穴を埋めることで隙間が124cm²→102cm²と22cm²減少。1台当たり7.3cm²ほどの隙間があった計算です。「大きい穴が減って、小さな隙間が残った」というn値の変化(1.63→1.43)からも、エアコン穴が家全体の気密性能を大きく蝕んでいたことが裏付けられました。
原因は業者ではなく「適正費用が支払われない流通構造」
私はエアコン取り付けにあたって誰がやったかをハッキリさせたかったので、経験豊富そうな近所の電気屋さんに依頼しました。個人事業主の直接施工で、引越し前の取り外しから5台すべてを一貫対応してもらっています。取り付けの腕は確かでした。
ただし、近所の電気屋さんは取り付けの腕はあっても、住宅の知識(気密層・通気層・防水シート)は全くの守備範囲外です。これは末端の作業員さんが悪いわけではありません。安価なエアコンを家電屋で購入し、その下請けに入った電気屋さんに丸投げし、適正な工事費用を払わない流通体質こそが本質的な問題です。「気密まで考えた工事」を頼むなら、追加費用と時間をかけてでも、住宅会社経由か気密施工に明るい業者を指名するべきでした。
自分の家のエアコン裏が漏れているか確認する3つの方法
気密測定をしないと隙間量は正確にはわかりませんが、素人でも「漏れている可能性が高い」かどうかは外観で判断できます。新築・築浅でエアコンが気になる方は、まずこの3つを確認してみてください。
①外壁の貫通部にスリーブが入っているか目視チェック

外壁側の見た目はこんな感じです。問題なさそうに見えますか?正解は「問題ありすぎ」。スリーブ(貫通管)が入っていない状態で、外側のパテだけで仕上げてあるパターンです。パテは気密部材ではないので、数年で硬化・収縮して隙間ができます。
②外壁のパテを軽く除去して通気層を覗く

外壁面のパテを除去すると、通気層内はパテなしでポッカリと隙間が空いていました。我が家の家全体の隙間面積が124cm²のうち、エアコン3台で21.8cm²=全体の約18%を占めていた計算です。しかも防水シートも切り裂かれたまま放置。通気層の上から雨水が入ると、壁内に水が回って住宅が大ダメージを負う寸前でした。気づいて本当に良かった瞬間です。
③風速計や線香でエアコン裏の風を確認
室内側からエアコンダクトカバーの隙間に手をかざす、または風速計や線香を当てるだけで、隙間風の有無が判定できます。無風がベスト、風速0.1m/s以上を感じたら要対策。後述の2階エアコンの実例では、パテを取り除いたら風速2m/s以上の隙間風が吹き込んでいました。
【1階エアコン編】DIY補修手順4ステップ
外壁側からアクセスできる1階エアコンの場合は、外壁のパテを一度除去して、内部から順に補修していきます。非常に狭くてやりづらいので、エアコンダクトカバーを外し、室外機を少し動かしながら、配管を左右にずらしつつ指を突っ込むのがコツです。
①防水シートの巻き戻し補修(気密テープで代用)

防水・気密テープを使って、切り裂かれた防水シート部分が壁内にしっかり巻き込まれるように施工します。本来ここにはスリーブを入れるべきですが、外壁を貼り終えた後では新しいスリーブは取り付けられないため、気密テープで代用します。
気密テープは何でも良さそうに見えますが、外壁内は環境変化が激しく、追随性のないテープは数年で剥がれます。アクリルタイプ・片面50mmの気密テープが良いです。ホームセンターでもよく売っている安価な定番品エースクロス011などを使用しましょう。
②内部に断熱材を詰め込み

パテだけでは断熱性能がほぼゼロになるため、カットした断熱材の端材を詰め込みます。我が家は新築時の余り材を使ったのでコストゼロですが、ない場合はホームセンターのグラスウール端材かウレタンスポンジで代用可能です。
注意:通気層側で発泡ウレタンスプレーを使うのはNGです。膨らんで通気層を塞いだり、防水シートを外側に押し出してしまう可能性があります。通気層は手作業でパテ・断熱材・気密テープを使い、発泡ウレタンは室内側の石膏ボード裏など膨張しても問題ない箇所だけに使い分けてください。なお、室内側で発泡ウレタンを足したい人向は、360度の角度で噴射できる一液性のスプレーを購入しましょう。
③コーキングで気密層を再生(パテだけでNGな理由)

通気層手前で空気が室内に入らないようガンタイプのシーリング(コーキング)でしっかり充填します。配管の下部分から先に打って、隙間をなくしましょう。
「パテで埋めればいいのでは?」と思うかもしれませんが、パテは気密部材ではありません。追随性がなく、数年で硬化・収縮して隙間風が戻ってきます。室外側は環境変化が激しく劣化も早いです。一方、気密部材と呼ばれるコーキング・シーリング・気密テープは耐久性が10年以上を前提に作られており、ガンタイプのシーリングを一度打っておけば長期的な安心感が違います。
④元通り戻して完成

外観は補修前と変わりません。外壁側だけパテで埋まっているのか、通気層も気密層もしっかり埋まっているのか、見た目では区別できないのが怖いところです。この手間暇と数千円の補修費用が、数年後に大きな差となって表れます。壁の中に湿気が入って構造材を腐らせるリスクを、たった2,000円で消せると考えれば破格です。
【2階エアコン×1階室外機編】足場なしで室内側から補修するリカバリー法
2階のエアコンで室外機が1階置きの場合、外壁側へのアクセスが事実上不可能です。足場を組むのは大工事になるので、室内側から補修するしかありません。スリーブを使っていない場合は、壁内の断熱材が削られたままむき出しの空間になっており、石膏ボードのパテ埋めだけでは焼け石に水です。

処理前は風速0.1m/パテを取ると風速2m以上の隙間風

パテを取り除いて壁内の状態を確認するため、いったん風速2m/s以上のすさまじい隙間風が解放されます。

ウレタン緩衝材を72個詰めて発泡ウレタン代用
2階の難所では発泡ウレタンスプレーを使えません。外壁側まで膨らんで通気層の防水シートを押し出してしまう恐れがあるからです。代わりに使ったのが、メルカリやネットショップで荷物に同梱されてくる「ウレタン緩衝材(ハイタッチ)」。手作業で1個ずつ詰め込み、パンパンに隙間をなくしていきます。我が家の場合、穴がかなり大きく72個も入りました。
普段は捨てている梱包材が「気密部材」になる発想は、環境にも家計にも優しいDIYとして真似してほしいポイントです。

ウレタン詰め込み後は風速0.1m/気密テープ仕上げで風速0m

ウレタン緩衝材を詰めただけで風速2m以上→0.1mまで激減。仕上げに前述の気密テープ(日本住環境ツーエステープ)で配管周りをぐるりと巻くと、最終的に風速0mで完全密閉になります。石膏ボード裏の中にも最小限の外気しか侵入しません。誰にでも簡単にできる気密リカバリーです。

補修後の気密測定結果まとめ|数値はDIYで本当に変わる

冒頭の表を再掲します。3台のエアコン貫通穴を補修するだけで、家全体の隙間が22cm²減り、C値0.88→0.73、n値1.63→1.43まで改善。とくにn値の改善(1.63→1.43)は「大きい穴が減って小さな隙間が残った」ことを示しており、家全体の漏気構造そのものが変わったことを意味します。
2階エアコンの難工事もリカバリー方法を発見できたので、足場がなくて諦めていた人もぜひ試してみてください。室内側からの作業だけで、風速0mまで持っていけます。
エアコン取り付け失敗を「未然に防ぐ」ベストプラクティス3つ
これからエアコンを取り付ける方は、以下の3点を必ず押さえてください。後から補修するより、最初から正しい工事をしてもらう方が10倍ラクです。
①新築時はスリーブ施工の見積もりを必ず取る
外壁を貫通する塩ビ管(スリーブ)を入れてもらうと、防水シートと気密層を破壊せずに配管を通せます。工務店経由の見積もりは1ヶ所1〜3万円が相場で、一見高く見えますが、後から気密測定で発覚して補修する手間と精神的負担を考えると圧倒的に安いです。
②外壁が貼られる前にエアコン配管を済ませる
予算が許すならば、エアコン配管はせめて建築時の外壁が貼られる前に作業してもらいましょう。建築段階なら通気層・気密シート・防水シートのすべてを正しい順番で復元できます。引き渡し後の取り付けは、見えない部分での妥協が必ず発生します。
③取り付け業者の選び方|「気密」を理解しているか聞く
家電量販店の下請けではなく、住宅会社の指定業者か、気密施工の経験がある電気工事店を選んでください。問い合わせ時に「気密シートと防水シートはどう処理してくれますか?」「スリーブは入れますか?」と聞いて、即答できる業者なら合格です。「?」となる業者は要注意。
補修後はドレン逆流防止「おとめちゃん」もセットで
高気密な部屋ほど、ドレンホースの逆流防止が必須になります。気密が上がると室内外の圧力差が大きくなり、ドレンホースから外気・虫・臭気が逆流しやすくなるためです。エアコンの気密補修とセットで「おとめちゃん(ドレン逆流防止弁)」の取り付けを推奨します。詳細は別記事にまとめています。
「ポコポコ音」と「湿度戻り」を500円で解決!エアコンに『おとめちゃん』を付けるべき理由
【FAQ】エアコン取り付けと気密のよくある質問
Q1. 取り付け業者にやり直しを頼める?
A. 残念ながら、ほとんどの場合は難しいのが現実です。家電量販店の下請けに「気密層・通気層を正しく復元してほしい」と頼んでも、住宅知識がない以上対応不能。気密施工に明るい業者を別途呼ぶか、本記事のようにDIYで補修する方が確実です。新築引き渡し直後のクレームなら住宅会社経由で対応してもらえる可能性があります。
Q2. 気密測定をしないと隙間に気づけない?
A. レンタル気密測定(1〜3万円程度)で正確に把握できます。ただし測定なしでも、本記事の「自己診断3つの方法」(外観・通気層覗き・風速計)で「漏れている可能性が高いか」は判定可能です。心配な方は線香の煙をエアコン裏に近づけてみてください。煙が吸い込まれたり流されたりすればクロです。
Q3. パテだけで埋めるのはダメ?
A. 外壁の最終仕上げに使う分にはOKですが、気密層の主役にしてはいけません。パテは追随性がなく、温度差や紫外線で硬化・収縮し、数年で隙間が再発します。気密層には必ずコーキング・気密テープ・発泡ウレタンなど「気密部材」を使い、パテはその外側の化粧仕上げ材として併用してください。
Q4. 賃貸でも対策できる?
A. 大規模補修は不可ですが、室内側からダクトカバーを外して、配管周りに気密テープを貼るだけでも風速はかなり下がります。退去時に剥がせる範囲なら原状回復も可能。隙間風で困っている方は、まず気密テープによる「ダクトカバー周り再シール」を試してみてください。
Q5. 新築時にスリーブ施工を頼むと追加費用はいくら?
A. 1ヶ所あたり1〜3万円が相場です。我が家のように5台分なら5〜15万円の追加。決して安くはありませんが、後からC値が悪化して補修工事を呼ぶことを思えば誤差レベル。気密性能をHEAT20 G2クラス以上で狙うなら必須投資と考えるべきです。
まとめ|エアコン1台のDIY補修で家全体のC値が0.15ポイント改善する
エアコン取り付けで気密層が破壊されているケースは、決してレアではありません。家電量販店経由の取り付けや、住宅知識のない電気屋さんに依頼した場合、むしろ起きていない方が珍しいくらいです。我が家の事例でも、3台で22cm²の隙間(C値0.15ポイント分)が放置されていました。
- 外壁のパテを除去して通気層と防水シートの状態を目視確認
- 防水シートを気密テープで巻き戻し補修
- 壁内に断熱材を詰め込み
- コーキングで気密層を再生(パテだけはNG)
- 2階エアコン難所はウレタン緩衝材+気密テープで室内側からリカバリー
すべての補修費用は合計約2,000円。半日のDIY作業で、家全体のC値が0.15ポイント、隙間面積が22cm²改善します。これからエアコン取り付けを依頼する方は本記事の予防策を、すでに取り付け済みで「もしかして…」と思った方は本記事の補修手順を、ぜひ試してみてください。気密性能の改善は、冬の暖かさ・夏の涼しさ・光熱費・住宅の長寿命化、すべてに直結します。
今回使用した道具と費用一覧(合計約2,000円)
今回のDIY補修にかかった費用はパテ2kg分の約2,000円のみ。(エアコン4台分と新規設置を考えて多めに購入しています)気密テープ・断熱材端材・ウレタン緩衝材は手元にあったものを流用しました。これからゼロから揃える方は、本記事内で紹介した4点を揃えれば、エアコン3〜5台分の気密リカバリーが可能です。
- 気密テープ:アクリル系気密テープ50mm片面タイプ|防水シートの巻き戻し&ダクトカバー周り仕上げに必須。アクリル系で耐久性◎
- 発泡ウレタン:360度使用可能な一液タイプ発泡ウレタンスプレー|室内側の石膏ボード裏など膨張OKな箇所用。360度噴射で狭所作業がラク
- パテ:因幡電工 エアコン用パテ|外壁側の化粧仕上げ材。2kgで2,000円とコスパ抜群
- ウレタン緩衝材:ネット購入などでの緩衝材を流用|2階エアコンなど発泡ウレタンが使えない箇所の代用品
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